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【速報】 ミャンマーの最新情勢(2023 年 6 月 1 日)


2023年6月1日 

ミャンマービジネスサポートデスク  西垣 充  

 

ミャンマー投資委員会によると、2022年度(2022年4月~2023年3月)の海外直接投資の新規許認可数は87件で、国別で最も多かったのは中国からが半数以上の43件、シンガポールが17件、香港が13件、韓国が5件と続き、日本は1件でした。

 2023年2月1日、政変から丸2年が経過し、非常事態宣言を6ヶ月間延長することを発表。総選挙の実施延長の可能性が高くなりました。2023年1月の日本向け衣料品輸出は前年比2.2倍になったものの、「GU」や「無印良品」などブランドの委託生産が年内に終了すると発表されるなど、国内経済は厳しい状況が続いています。

ヤンゴン市内は活気が戻ってきたように見えるも日本人が被害を受けるなど治安は悪化。地方を中心に断続的に衝突が発生しており、経済は低迷、解決策が見えない状況が続いています。中央銀行の公式レート(1 米ドル=2,100 チャット)と実勢レート(1 米ドル=2,850~3,000 チャット)の格差も続いています。また、日本からミャンマーへの送金は可能なものの、企業活動にあたっては、輸入許可の遅れだけでなく、外貨の現地通貨チャットへの強制両替義務付けや、外貨の購入・国外への外貨送金にあたり外国為替監督委員会(FESC)の認可を得る必要があるなど混乱が続いていますが、支払い代金などの外貨送金については、以前に比べると比較的スムースになっているようです。ただ、中央銀行は今後も統制継続方針を示しています。

 商業便の再開による国際便の増便等により、日本や近隣諸国からの出張者が増加傾向にあります。2022 年 4 月 1 日からオンラインによるビジネスビザ申請が再開され、4 月 17 日から約 2 年ぶりに商業便が再開。5 月 15 日から観光ビザ(E-VISA)の申請が再開されました。 2023年3月22日付の保健省通達により、ミャンマー入国の条件が一部変更されました。これまで加入が求められていた国営保険会社Myanma Insuranceの保険について、商用ビザでミャンマーに入国する場合は、同社の保険に代えて、日本等の保険会社の保険(新型コロナウイルスを補償対象に含むもの)に加入した証明(英語又はミャンマー語)を提示することで差し支えないこととなりました (E -VISAの場合は引き続き同社の保険が必要)。ミャンマー入国に関する主な条件は、

①有効なビザを取得していること、

②到着 14 日以上前までに承認済みのワクチン接種を完了していることです。 

2022 年 12 月 1 日より、ミャンマー入国後、空港内にて実施されていた RDT (抗原)検査は「到着 14 日以上前に接種した承認済みワクチンの(2 回)接種証明書」又は「到着前 48 時間以内に発行された RT-PCR 陰性証明書」を所持している場合、ミャンマー到着後の空港においては不要となりました。 

ヤンゴン地域では、ショッピングセンターやレストランなど 21 時以降も営業しているところが増えています。  

 

①テレビ

 国軍系放送、国営放送及び民放は、放送されています。ただし、関係者に確認したところ、軍側が放送施設を管理し放送番組の選別を行っている模様です。民間の大手衛星放送「SKYnet」では、多くの海外放送のニュースチャンネルが視聴できなくなっていますが、「NHK プレミアム」と「CCTV4」は視聴できます。

海外放送では、スポーツや音楽、映画チャンネルのうち、FOX 系、HBO 系が視聴できなくなっています。一方、新規チャンネルとして、Bloomberg Myanmar ではミャンマーの経済的なニュース、One News Channel では世界の出来事や観光地などが新たに視聴できるチャンネルとして追加されています。ニュースや映画などは、スマートフォンで視聴する人が増えています。  

 

②インターネット

 光回線や WIFI(ワイヤレス・ブロードバンドサービス)、携帯電話データ通信などは問題なく利用可能です。ただ、フェイスブック、ツイッター、インスタグラムなどの SNS は閲覧できなくなっています。携帯電話データ通信では、政府が許可するアプリ(ZOOM、LINE や Skype 等約 1,200)のみアクセスが可能になっています。

 2021 年 12 月 8 日より、ミャンマーの携帯サービス事業者は、データ通信料のパッケージプランを 30%~40%程度引き上げています。ノルウェーの通信大手テレノールとカタールの通信事業社オレドーは携帯通信事業をそれぞれ売却、使用者側にも混乱が広がっています。 

 

 ③電話 

いずれの携帯電話会社も通話及び SMS は問題なく使用できています。 

 

 ④日常生活での支障 

ヤンゴン市内の大型ショッピングセンターやレストランはほぼ通常営業しており、週末などは非常に混雑しています。大手流通小売り「City Mart」は、一部 7 時から営業している店舗もありますが、多くの店舗は 9 時~21 時で営業しています。タイ系小売り・卸「Makro」は 7 時半~20 時まで営業しています。大型ホームセンター「PRO1」は店舗によって若干営業時間が異なるものの、多くの店舗営業時間は 8時半~17時半となっています。

宅配デリバリーサービスは、「Food Panda」「Grab Food」いずれも通常営業に戻っています。「Grab Mart」は 8 時~20 時まで営業しています。 

中央銀行が 4 月 5 日外貨を現地通貨に転換することを義務付けた通達を行い、日本からの送金分は 1両日中に中央銀行が設定した為替レート(1 米ドル=1,850 チャット、8 月 8 日から 2,100 チャット)にてチャットに強制両替されています。市場での実勢為替レートは一時的に 4,500 チャットを超えるなど、急激に二重為替が進行してきていますが、現在は 3,000 チャット前後で推移しています。

5 月 25 日には、中央銀行が外貨 取引の停止を各省庁に指示。7 月 6 日付の中央銀行から民間銀行への通達では、外貨の購入が必要な場合、国外への外貨送金にあたっては外為監督委員会の認可を得る必要があると通知されており、日系企業の営業活動に影響が広がっています。資材購入用外貨送金のため外為監督委員会からの許可は 3 週間ぐらいかかっているようです。 

ATM 使用に関しては、KBZ 銀行及びCB 銀行は1日30万チャット、週50万チャットまで引き下ろし可能。スペシャルアカウントの場合は1日100万チャット、週500万チャットの引き下ろしが可能で、銀行で引き下ろす場合は無制限で引き下ろしが可能です。 

ヤンゴン地域における公共の場での 5 人以上の集会禁止令は継続されており、夜間外出禁止令により午前 0 時から午前 4 時の外出は禁止されています。 

 

 ⑤日系企業の対応

 コロナ感染者が一部見受けられるものの、重度な症状を発症するケースも少ないため、企業活動に大きな影響は見受けられません。市内ではマスク着用者が少ないですが、各社、感染予防を徹底しながらも企業活動を継続しています。外貨規制の長期化を受けて、プロジェクト延期・停止、撤退、事業縮小の動きが本格化してきています。  

 

⑥公共交通機関 

<国際線・国内線>

 国際線旅客機の着陸禁止措置は 2022 年 4 月 17 日に解除されました。日本への全日空直行便は 2022年 6 月 1 日よりバンコク経由毎日就航に変更になっています。6 月からはタイスマイル(タイ国際航空)、エアアジア、ノックエアなどバンコク線が再開されるなど、国際線は 6 月から増便傾向にあります。国内線旅客機は減便されていますが、各地運航されています。 

<バス> 

ヤンゴン市内バスは減便運航されてきていましたが、コロナ感染拡大が落ち着きを見せ始めた 2021 年 8月中旬以降徐々に運航数は増えてきています。ただ、2022 年 2 月頃から燃料費高騰が顕著となり、バス運賃は 2 倍以上の値段に高騰してきています。

 <タクシー>

 一般タクシーは通常通りですが、燃料費の高騰により値段は上がっているようです。大手配車アプリGRAB タクシーは、夜間外出禁止令緩和により、5 時~23 時まで営業していますが、燃料費高騰によりタクシー料金は半年前の 2 倍以上になっています。  

 

⑦物流 

国際宅配便 DHL は、毎日発送・着送されるようです。EMS は、日本への発送は再開されましたが着送は停止されているようです。国際郵便は発送・着送できるようです。国内物流は動いていますが、燃料費の高騰により、輸送費が上昇しています。タイ国境などへの物流も基本的には稼働しているようです。港湾局の業務は通常通り行われています。海上輸送、輸出入に関しては国際的なコンテナの需給バランスから輸送費が落ち着きつつあるようで、通関について、輸出、輸入とも問題なくできているようですが、乙仲業者によって業務スピードは変わるようです。航空貨物は動いているようです。  

 

⑧工場稼働状況

 6月1日のティラワ経済特区内工業団地の入居企業は 8 割程度が事業活動を継続中で、ミンガラドン工業団地内工場は 9 割程度が生産稼働しているようです。また、ラインタヤ工業団地内の工場、シュエピータ工業団地内の工場も多くが稼働しているようですが、停止する工場も見受けられます。   

 

【大阪産業局ミャンマービジネスサポートデスク】

 受託事業者: J-SAT Co., Ltd.  代表取締役  西垣 充 

#501, 5 Floor, Sakura Tower, No.339, Bogyoke Aung San Road, Kyauktada T/S,  Yangon,  Myanmar 

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