【速報】 ミャンマーの最新情勢 (2023年2月28日)
2023年2月28日
ミャンマービジネスサポートデスク 西垣 充
2023年2月1日政変から丸2年が経過し、非常事態宣言を6ヶ月間延長することを発表。総選挙の実施延長の可能性が高くなりました。ヤンゴン市内は活気が戻ってきたように見えますが、日本人が被害を受けるなど治安は悪化、地方を中心に断続的に衝突が発生しており、経済は低迷、解決策が見えない状況が続いています。
中央銀行の公式レート(1米ドル=2,100チャット)と実勢レート(1米ドル=2,800~3,000チャット)の格差は続いており、燃料費は一定の落ち着きはみられるものの、物価上昇が深刻な状況は続いています。資金洗浄やテロ資金供与対策に関する国際的な基準策定機関の金融活動作業部会(FATF)は10月21日、ミャンマーをブラックリスト(行動要請対象の高リスク国・地域)に追加すると発表。日本からミャンマーへの送金は可能なものの、企業活動にあたっては、輸入許可の遅れだけでなく、外貨の現地通貨チャットへの強制両替義務付けや、外貨の購入・国外への外貨送金にあたり外国為替監督委員会(FESC)の認可を得る必要があるなど、混乱が続いています。
商業便の再開による国際便の増便等の要因から、日本や近隣諸国からの出張者が増加傾向にあります。2022年4月1日からオンラインによるビジネスビザ申請が再開され、4月17日から約2年ぶりに商業便が再開。
5月15日から観光ビザ(E-VISA)の申請が再開されました。 2023年2月18日付の保健省通達により、ミャンマー入国の条件が一部変更されました。これまで加入が求められていた国営保険会社Myanmar Insuranceの保険について、商用ビザでミャンマーに入国する場合は、Myanmar Insuranceの保険に代えて、日本等の保険会社の保険(新型コロナウイルスを補償対象に含むもの)に加入した証明(英語又はミャンマー語)を提示することで差し支えないこととなりました。ただし、Eビザを申請する場合は引き続きMyanmar Insuranceへの加入が必要とされています。
ミャンマー入国に関する主な条件は、
①有効なビザを取得していること、
②到着14日以上前までに承認済みのワクチン接種を完了していること、
③e-VISAの場合は国営保険会社Myanmar Insuranceの保険へ加入していること、が必要となります。2022年12月1日より、ミャンマー入国後、空港内にて実施されていたRDT抗原検査は「到着14日以上前に接種した承認済みワクチンの(2回)接種証明書」又は「到着前48時間以内に発行されたRT-PCR陰性証明書」を所持している場合、ミャンマー到着後の空港におけるRDT抗原検査が不要となりました。
ヤンゴン地域では、ショッピングセンターやレストランなど21時以降も営業しているところが増えています。
①テレビ
国軍系放送、国営放送及び民放は、放送されています。ただし、関係者に確認したところ、軍側が放送施設を管理し放送番組の選別を行っている模様です。民間の大手衛星放送「SKYnet」では、多くの海外放送のニュースチャンネルが視聴できなくなっていますが、「NHKプレミアム」と「CCTV4」は視聴できます。海外放送では、スポーツや音楽、映画チャンネルのうち、FOX系、HBO系が視聴できなくなっています。一方、新規チャンネルとして、Bloomberg Myanmarではミャンマーの経済的なニュース、One News Channelでは世界の出来事や観光地などが新たに視聴できるチャンネルとして追加されています。ニュースや映画などは、スマートフォンで視聴する人が増えています。
②インターネット
光回線やWIFI(ワイヤレス・ブロードバンドサービス)、携帯電話データ通信などは問題なく利用可能です。ただ、フェイスブック、ツイッター、インスタグラムなどのSNSは閲覧できなくなっています。携帯電話データ通信では、政府が許可するアプリ(ZOOM、LINEやSkype等約1,200)のみアクセスが可能になっています。
2021年12月8日より、ミャンマーの携帯サービス事業者は、データ通信料のパッケージプランを30%~40%程度引き上げています。ノルウェーの通信大手テレノールとカタールの通信事業社オレドーは携帯通信事業をそれぞれ売却、使用者側にも混乱が広がっています。
③電話
いずれの携帯電話会社も通話及びSMSは問題なく使用できています。
④日常生活での支障
ヤンゴン市内の大型ショッピングセンターやレストランはほぼ通常営業しており、週末などは非常に混雑しています。大手流通小売り「City Mart」は、一部7時から営業している店舗もありますが、多くの店舗は9時~21時で営業しています。タイ系小売り・卸「Makro」は7時半~19時まで営業しています。大型ホームセンター「PRO1」は店舗によって若干営業時間が異なるものの、多くの店舗営業時間は9時~17時となっています。宅配デリバリーサービスは、「Food Panda」「Grab Food」いずれも通常営業に戻っています。「Grab Mart」は8時~20時まで営業しています。
中央銀行が4月5日外貨を現地通貨に転換することを義務付けた通達を行い、日本からの送金分は1両日中に中央銀行が設定した為替レート(1米ドル=1,850チャット、8月8日から2,100チャット)にてチャットに強制両替されています。市場での実勢為替レートは一時的に4,500チャットを超えるなど、急激に二重為替が進行してきていますが、現在は3,000チャット前後で推移しています。
5月25日には、中央銀行が外貨取引の停止を各省庁に指示。7月6日付の中央銀行から民間銀行への通達では、外貨の購入が必要な場合、国外への外貨送金にあたっては外為監督委員会の認可を得る必要があると通知されており、日系企業の営業活動に影響が広がっています。資材購入用外貨送金のため外為監督委員会からの許可は3週間くらいかかっているようです。
ATM使用に関しては、KBZ銀行及びCB銀行は1日30万チャット、週50万チャットまで引き下ろし可能。スペシャルアカウントの場合は1日100万チャット、週500万チャットの引き下ろしが可能で、銀行で引き下ろす場合は無制限で引き下ろしが可能です。
ヤンゴン地域における公共の場での5人以上の集会禁止令は継続されており、夜間外出禁止令により午前0時から午前4時の外出は禁止されています。
⑤日系企業の対応
コロナ感染者は見受けられるものの、重度な症状を発症するケースも少ないため、企業活動に大きな影響は見受けられません。市内ではマスク着用者が減少中ですが、各社、感染予防を徹底しながらも企業活動を継続しています。外貨規制の長期化を受けて、プロジェクト延期・停止、撤退、事業縮小の動きが本格化してきています。
⑥公共交通機関
<国際線・国内線>
国際線旅客機の着陸禁止措置は2022年4月17日に解除されました。日本への全日空直行便は2022年6月1日よりバンコク経由毎日就航に変更になっています。6月からはタイスマイル(タイ国際航空)、エアアジア、ノックエアなどバンコク線が再開されるなど、国際線は6月から増便傾向にあります。国内線旅客機は減便されていますが、各地運航されています。
<バス>
ヤンゴン市内バスは減便運航されてきていましたが、コロナ感染拡大が落ち着きを見せ始めた2021年8月中旬以降徐々に運航数は増えてきています。ただ、2022年2月頃から燃料費高騰が顕著となり、バス運賃は2倍以上の値段に高騰してきています。
<タクシー>
一般タクシーは通常通りですが、燃料費の高騰により値段は上がっているようです。大手配車アプリGRABタクシーは、夜間外出禁止令緩和により、5時~23時まで営業していますが、燃料費高騰によりタクシー料金は半年前の2倍以上になっています。
⑦物流
国際宅配便DHLは、国際便の増便により毎日発送・着送されるようです。EMSは、発送・着送とも停止されているようです。国内物流は動いていますが、燃料費の高騰により、輸送費が上昇しています。タイ国境などへの物流も基本的には稼働しているようです。港湾局の業務は通常通り行われています。海上輸送、輸出入に関しては国際的なコンテナの需給バランスから輸送費が落ち着きつつあるようで、通関について、輸出、輸入とも問題なくできているようですが、乙仲業者によって業務スピードは変わるようです。航空貨物は動いているようです。
⑧工場稼働状況
2月27日のティラワ経済特区内工業団地の入居企業は8割程度が事業活動を継続中で、ミンガラドン工業団地内工場は9割程度が生産稼働しているようです。また、ラインタヤ工業団地内の工場、シュエピータ工業団地内の工場も多くが稼働しているようです。各社就業時間、出勤者に配慮しながら対応しています。
【大阪産業局ミャンマービジネスサポートデスク】
受託事業者: J-SAT Co., Ltd. 代表取締役 西垣 充
#501, 5 Floor, Sakura Tower, No.339, Bogyoke Aung San Road, Kyauktada T/S, Yangon, Myanmar
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